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カセットコンロⅢ

ちょっと話を聴くだけのために警察署まで連れて行かれるとは思わなかった。

ようやく家に帰って来たものの私のテンションはすっかり下がってしまっていた。
部屋の中心、テーブルの上に置かれたカセットコンロが目に入る。
まるで私の帰りを待っていてくれたように見えた。

「さっきは悪かったな…言い過ぎたよ。」

私は素直にコンロに謝罪した。
そうだ、久しぶりに鍋でも作ってもらおう。
私の突然の提案にコンロが快く応じてくれた気がした。

私は買ってきた食材を切り、コンロが沸かした湯の中に浸した。
煮えた食材と出汁の匂いが漂い、私は十分に火が通ったことを確信し蓋を取った。

うまかった。

こんなにうまい鍋を作ってくれるコンロの死を願っていたのかと思うと、
自分が恥ずかしくなった。
コンロは何も言わず、ただ涙を流しながら謝罪する私の傍らにいた。

私はコンロと結婚しようと思った。

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2006年05月06日 カセットコンロ トラックバック(0) コメント(0)

カセットコンロⅡ

まず私はカセットコンロを口汚く罵ってみることにした。

カセットコンロにとっての地獄が始まった。
およそ食品を扱うことを生業としているものには耐えられないであろう罵詈雑言の数々。
私は唇を歪め、唾を飛ばしながら捲くし立てるようにコンロを責めた。

コンロを罵倒し始めてから30分が過ぎた。
私の背後ではXTCの名曲『Hellicopter』が爆音で鳴り響いている。
そのため否が応にも私のテンションはヒートアップ。
とどのつまりこれは最新型の魔女狩りだ。
大衆娯楽としての側面も持ち合わせたであろう魔女狩り。
その狂乱の宴が私の手によって21世紀に蘇ったのだ。

宴は深夜にまで及んだ。
私のテンションは依然として生涯最高の状態を保っていた。
しかしその宴は無粋なインターホンによって水を差されることとなる。

隣人が来た。

こんな深夜にそんな大きな音をたてられたのではたまったものではない。
いったい何をしているのか?という趣旨の質問をされたので、
私は隣人の眼前にカセットコンロを突きつけ言った。

「このコンロを自殺に追い込もうとしているのですよ、あなた。
これはある種のカーニバルなんです。私の信仰に関わる問題なんです。
あなたの理解が得られるとは思えませんが、邪魔をするつもりなら死んでもらいます。」

隣人は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして無言で帰っていった。
思わぬ邪魔が入ったが宴は続く。オーヘリ オーヘリ。
そして隣人が帰ってから一時間が過ぎた頃、

警官が来た。

えらいことになった。どうしよう?

2006年05月05日 カセットコンロ トラックバック(0) コメント(0)

カセットコンロ

カセットコンロを自殺に追い込んで見ようと思った。

今、私の目の前に一台のカセットコンロがある。
一見してよく使い込まれていることが分かる古びたコンロだ。
私は今このコンロ自身の意志で死を選択して欲しいと願っている。

もとより私がカセットコンロなどという一調理器具に恨みを持っているわけではない。
ただその一調理器具が自ら死を選び実行に至る過程に興味がある。
そう、これはただの興味、好奇心だ。

しかしこれはなかなかに難しい問題だ。
もちろん私がこのカセットコンロを殺害することは簡単なことだ。
私の手元には使いようによっては鈍器と呼ばれてしかるべきものがいくつもあったし、
相手はただの調理器具だ。抵抗などできようはずもない。
しかし私がしようとしていることは殺しではない。せいぜいが自殺幇助だ。
手を貸すことはできても私自身が手をくだしてカセットコンロを殺すことはできない。

いったいどうすればよいのだろうか?

2006年05月05日 カセットコンロ トラックバック(0) コメント(0)

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